4月28日(金)
今日も晴天。
原付バイクを借りて、バリ島最大の寺院である「ブサキ寺院」
に行ってみることにする。
↑モンキーフォレスト通りの風景
レンタルバイク屋はモンキーフォレスト通りに何軒か存在する。
聞いてみると、50ccのバイクはほとんど無く、
もう少し大きいサイズのバイクの中から、マニュアル(つまりスーパーカブ)か
オートマチックを選ぶシステムになっている。
当然、オートマチックを選択。1台40000ルピア。
2人乗りも出来るような大きさのバイクだったが、
ブサキ寺院までかなり距離がありそうだったので、2台借りることにする。
(ちなみに、インドネシアと日本は国際免許の協定を結んでいないので
国際免許証は有効でない。でも、もちろん免許証はチェックされない)
僕は学生時代に、寿司屋の出前のバイトをしていたので
二輪車の運転は問題ないのだが、
サチは高校生の時にこっそり原付に乗ったことがある程度。
たしかに、乗っている姿がちょっと変だ。
まずはギャニャールという村を目指して東の方角へ走り始めたのだが、
どうもスタートから道を間違えたようだ。
幹線道路を走っているつもりが、なぜかものすごく細い道を
クネクネ走り回ることになり、最後は完全に田んぼのあぜ道になってしまった。
↑のどかだ〜
・・・誰もいない。
近くの村まで戻り、そこで青年に道を尋ねると、
やはり僕たちは全く見当はずれの方向に走っていたようだ。
ものすごい悪路に苦闘しながら、なんとか大通りにたどり着く。
ウブドから東に向かう幹線道路はかなり快適だ。
舗装状況が良いため、みんなビュンビュン飛ばす。
問題なのは、分岐点の看板が街路樹が生い茂っていて全然見えないこと。
何度も間違う。
ギャニャールから北上し、次はバンリという村へ。
ひたすら坂道を上りつづけているため、少し寒くなってくる。
バンリから東に向かう際にまたもや道を間違え、名も知らぬ村に入ってしまう。
ちょうど村では小さなお祭りが開かれており、
昼間からガムランが村中に響き渡っている。
小さな村では若者でも英語が通じない。
地名とジェスチャーでなんとかコミュニケーションをとる。
ここまで道を間違えまくっていると、
間違えているおかげで、面白い体験をしているような気にもなってくる。
渓谷を越える橋付近のワルーンで休憩。
ここまでで2時間経過。
田舎のワルーンはガソリンスタンドも兼ねているので、給油してもらう。
2台分の合計で20000ルピア支払うことになったが、
それが高いのか安いのか見当がつかない。
ここから坂道を延々と上り続ける。
ブサキ寺院は標高3142mのアグン山の中腹に立てられているのだ。
どんどん寒くなってきたので、合羽を着る。
スタートから3時間かかってやっとブサキ寺院に到着。
駐車場にバイクを停め歩いて寺院へ向かう。
エントランスで、今日はブサキ寺院でセレモニーがあるため
中に入るにはガイドをつける必要がある、と言われる。
ガイド料を尋ねると貴方次第でいいと言われ、
訝しく思いながらガイドをつける。
腰にサルーンを巻き、バリの正装を身に付けいざ境内へ。
ブサキ寺院は、たくさんの寺院の集合体だ。
家族の儀式を専門に扱う寺もあれば、職種別、階層別のお寺もある。
バリ・ヒンドゥーの信者以外はお寺の中に入ることが禁止されているため、
僕たちはそれぞれのお寺の入り口までしかいくことができない。
今歩いている場所は、正確に言えば境内ではないのかもしれない。
ちょうど大きなお祭りが終わった後らしく、今日はお祈りをする人の数も少ない。
お寺はこれぐらい静かな方が落ち着いて良い。
中央の最も大きなお寺を入り口の外から見学していると、
やってきた欧米人バックパッカ−2人組が
お寺の内部までどかどかと入っていく。
ルールを守らないダメな奴はどこにでもいる。
たしかに遠い異国に来ていろんなものを自分の目で見てみたい、
と言う気持ちはわからなくもないが、
かといってそこに住む人々の宗教や生活を踏みにじるようなことは
してはいけないだろう。
バリの人々はそういう奴等を見て悲しく感じるが、
直接怒るようなことはしないのだそうだ。
なんて優しすぎる民族なのだろう。
そこがまた悲しい。
最後にガイドがお金を要求してくる。
貴方次第といった割には、150000ルピアというものすごく具体的な数字を
提示される。
半分がお寺に支払われ、2割が運営団体に支払われ、
2割が英語の教師に支払われ、自分には1割しか残らないのだと力説される。
本当かよ、と疑いながら交渉して、最終的には130000ルピアを渡す。
ガイドはにこにこして受け取る。
駐車場でご飯を食べ、ウブドに戻る。
来る時とは違うルートで帰ることに。
ブサキ寺院からまっすぐ山を下り、
スマラプラという王宮のある村を右折して進めばウブドに到着する。
走りはじめは路面がでこぼこして走りにくかったが、
山を下りきると、広くて走りやすい道。
サチもやっと運転に慣れてきたようだ。
僕を何度も追い抜こうとしてくる。
帰りは1時間50分で到着。
宿でシャワーを浴びたりして、しばし休憩。
夕方から、オダランを見学に行く。
オダランというのは、寺院の設立記念日だ。
バリのウク暦という独特の暦にしたがって210日ごとに開催される。
オダランは夕方から夜中にかけて行われるということなので、
しかたなくタクシーを1台チャーターする。
300000ルピア。さすがに高い。
バトゥブランという村を目指す。
ここはウブドとデンパザールの間にある、石彫り職人の村だ。
20分ほど走り無事にオダランの開かれる寺院に到着。
すでに始まっているようで、スピーカーからお祈りの声が村中に響き渡っている。
今日は比較的小さな寺院のオダランということであったが、
150人ほどの村人が正装をして集まっている。
子供たちもみんな正装だ。
みんなお供え物を持って、寺の本堂に入っていく。
ここには僕たちは入ることが出来ないので外から覗いてみると、
昨日僕たちが体験したのと同じ儀式を行っている。
お祈りが終わった人々は、本堂に隣接された集会所で溜まって話し込んでいる。
なぜか男は男同士、女は女同士、完全にわかれて座っている。
お祈りは永遠に続きそうなので、僕たちはちょっと失礼して境内を歩き回る。
日本のお祭りと同じように出店がいくつか出ている。
ちょっとお腹がすいたのでなにか食べようということになり、
いくつかの屋台を見て回る。
ミーアヤムと書かれた屋台がうまそうだったので1つ注文。
生麺を湯がき、青菜と鶏肉の煮込みのような具をのせ、スープをかける。
上から辛そうな真っ赤なソースをふりかけ、完成。
5000ルピア。
近くの売店のいすに座り一口食べて驚く。
バリで食べた料理の中で1番うまい。
麺の歯ごたえ、スープ、煮込みの味、全てが
ワルーンや観光用のレストランとは一味ちがう。
みんな、隠れてこんなおいしいもの食べてたのか。
食べていると、ガムランの楽隊が演奏しながら入場してくる。
急いでスープを飲み干し、集会所に入り込んで座る。
ガムランは本堂に向かって演奏される。
本堂では未だお祈りが続いているが、そのお祈りをかき消すかのようにガムランが鳴らされる。
演奏しているのは若者が多い。
最初はゆったりとした演奏。
何度か休憩をはさみながら、徐々にテンポも速くなり音も強くなっていく。
1時間ほどでかなりトランシーで強力な演奏になったが、
それでも、周りでおしゃべりしているおばちゃんたちのテンションは変わらない。
子供たちも、境内でトランプに興じている。
こんなすごい音楽がBGM代わりというのも豪華というかなんというか。
ガムランの演奏は約2時間で終了。
演奏者達も本堂の方でお祈りと儀式を済ませる。
お祈りの声も止まり、一旦休憩。
村人達は座敷のようなところに集まりみんなでご飯を食べている。
休憩の間、タクシーのドライバーと、バリの儀式について色々話す。
とにかくバリには儀式やお祭りが多い。
バリ・ヒンドゥー教では、
人が生まれてから死ぬまでにとにかくたくさんの儀式を受けなくてはならず、
家族全員の儀式を把握するだけで大変だし、
村には最低3つの寺院があって、それらのお祭りは1ヶ月に1回は必ずある。
それに加えて、総本山であるブサキ寺院の儀式や新月・満月の儀式
などあわせると、ほぼ10日に1度はなんらかの儀式があるのだそうだ。
儀式のために忙しいし、儀式のためにお金がかかる、バリ人は大変だよ、
そういって笑う彼の顔からは、大変さは微塵も感じることが出来ない。
むしろ誇らしげだ。
休憩の後は、ワヤンクリッ(影絵)が始まる。
見ているのは、時間帯のせいか大人ばかりだ。
このワヤンクリッは2日前に見た観光者向けのものとは全く違う、
ものすごい高レベル。
キャラクターの動きや、音のアクセントのつけ方などもすごいのだが、
特にストーリーテラーの声のテンションが素晴らしい。
ぐんぐん引き込まれる。
ワヤンクリッにはお決まりなのか、ストーリーと関係なく
インドネシア語でのコントが織り込まれる。
見てるおじさんたちにはバカ受け。
そのコント部分がものすごく長いために、物語もものすごく長い。
2日前と同じ内容の物語にもかかわらず、今日は2時間たっても終わらない。
21時30分からスタートしたワヤンクリッは、深夜0時を回ったところでやっと終了。
みんなぞろぞろと帰り始める。
オダランってもちろん宗教的儀式ではあるけれど、それ以上に、
村人みんなで定期的に顔をあわせるというコミュニティ的な意味合いも
強いんだと感じた。
タクシーでウブドまで戻りコンビニでビールを買いこむ。
本当は運転直後に飲みたかったのだが、
オダランで飲酒はご法度なので、こんな遅いタイミングになってしまった。
宿で乾杯。
疲れていたのか、1本飲んだだけでそのままベッドで眠りこける。